アファンタジアと立方体

私には兄が1人います。普段は連絡を取ることも少ないのですが、自分がアファンタジアであると認識した時、まず、兄に電話をしました。遺伝子的に最も近いと思われる兄がアファンタジアであるのかを確認したかったのです。

兄について

なんとなく予想はしていたのですが、やはり兄はアファンタジアではありませんでした。
兄は(私と違って)非常に優秀な人物で、国立大学の基礎工学部から大学院まで修めているような人です。ゴリゴリの理系で、ふわっふわな文系人間の私とは対象的な人生を歩んでおられるエリートでございます。もちろん、猛烈な努力と忍耐の末に勝ち取ったポジションであることも知っています。決して仲のいい兄弟とは言えませんが、私は尊敬しています。

その思考方法

私が、脳内でイメージを映像化できないこと、たとえば両親の顔も思い出せないことを伝え、兄にはそのような傾向がないかと訊ねると、しっかりイメージして映像化できるとの返答でした。

ただ、そこからの兄の理解力と思考力が違いました。
私の説明を聞いてすぐに、「なるほど。じゃあ立方体の角の数はどうやって数える?」という質問が返ってきました。・・・あぁ!やっぱりすごい!!この人は完全に理解している!

そうなのです。普通の人は頭の中にズドンと立方体を据え置いて、1つ、2つ、3つ・・・、あと見えていない部分に1つで合計8つ、とカウントできる、らしいのです。しかしアファンタジアである私は違います。

ここでCGアニメーションでも作って貼れればかっこいいんでしょうが、娘のらくがきちょうに鉛筆で手書きです。
角があって、そこから線を延ばしていって2個めの角を作り、そこからまた線を延ばしていって3個めの角を作ります。その時にはもう、最初の角も2個めの角も存在していません。頭の中には常に、1つの角しかないのです。

アファンタジア判別法!?

一口にアファンタジアと言っても、その状態には個人差があるらしく、皆が一様に同じ状態であるとは言えないようです。私の場合は、立方体の角の数をカウントするとき、このような方法になります。アファンタジアでも、もしかすると面まではイメージできる人、あるいは全くカウントできない人もいるのかもしれません。ただ、立方体を立方体として脳内で固定できないことは、アファンタジアの特徴をわかりやすく説明する方法のひとつなのではないかと思うのです。
アファンタジアの説明として、たとえば、ネットでよく目にしたのは「頭の中でリンゴをイメージできない」ですが、これは私にとっては少し違うのです。私の状態の場合、一瞬、赤い色と形状とが通り過ぎて消えるのです。「固定して観察できない」のが私の状態なのだろうと考えています。

「アファンタジアとは」2020年8月26日暫定版

アファンタジアとは、「頭の中で立方体の角の数を数えろと言われると、面倒くさい数え方をしがちな人」というのが私の今日のところの結論です。

でもこれはなかなかにアファンタジアの本質を突いた考え方だと思っています。それを初見で秒で見抜いたあたり、うちのアニキ、ヤバくないっスか?!

そういえば小学生の頃、兄の学習机の棚にはルービックキューブが置いてありました。兄が上手だったのかは憶えていませんが、私は1面すら揃えたことがありません。いつもグッと捻って壊してバラバラにして、組み立てて色を揃えていました。
あぁ・・あの頃からしっかりアファンタジアしてたのだなぁ・・・。

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